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たまゆら [読書]

帯の、
「恋愛の深奥をえぐる、恐ろしくも美しい物語」
に惹かれました。

たまゆら

“本当の恋がどういうものか、私は知っている。”

「えぐる」とか「恐ろしくも」とか言われると
少しばかりビビってしまうかもですが、
実際のところ、そこまではなかったと私は感じました。
ただ、ドキっとはしました・・。ヘンな汗かいた;

以下、思ったこと。

私は、日名子の恋愛にはそんなにグッとこなくて。
だからこの物語の真髄を読解できていないのだと思うのだけどw

まぁね、ある程度、大人の想いは理解できるからか、怖さは感じないのです。

だけど・・真帆子のそれにはつらさがこみ上げて、苦い気持ちに;

真帆子が11歳の時に自覚した恋、その烈しさは、たぶん女ならわかると思う。
11歳という年齢はカンケーない。
どんなに稚拙でも、その熱はまちがいなく胸を焦がしていて、そしてそれを失ったと知った時の孤独は気持ちも身体も冷たくしてしまう。
その後、前を向いて歩いていけるか、それともそこに立ち止ったままか。

恋を自覚する。
失ったその瞬間に、知ってしまう想い。
ただ、明るく「好き」と告げて始まる恋とは違う;
気づきの時点で重さが違うんだよね;うまく言えないけど。
好きって言ってすぐくっついて、を繰り返してもわからない重さ。

昔のことだけど。
塾の帰り、駅で。
久しぶりに会えたのに、彼はニコッとしてくれたのに。
私、会釈さえできなかった。はずかしいというんじゃなかった。
見栄張ったんだよね、いま思うとワケわかんないカッコつけ。
そんな自分のバカな行動に、ああ、終わったと思った。
それまでは、大丈夫、彼とは両想いだと確信してた。
もうダメ、終わったと自覚した瞬間に押し寄せてきた後悔、思い出すと吐きそう;
ほんとにね、それまでは明るく「好き♪」って思ってて楽しかったのに、
その夜以来、 “好き”の質が変わったのは明らかで。
急に重みが増してしまった。
自ら機会をブチって切ったことでこんなに好きだったんだと知った。
知った瞬間「終わったね」という終業のベルみたいなの、聞こえたんよ;
もうおしまい、ここまで、って。
終業の合図があった後から、ほんとの恋が始まったのかもとさえ。ずっとつらかった。
14歳の時だった。
あの時、明るく「こんばんは」と声をかけられていたら、
そこまで彼を好きと気づくこともなく、軽い気持ちでお付き合い・・?

―なんてことを、この作品読んで思ったのでした。


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